公開日 2024年1月14日 最終更新日 2024年2月21日
あけましておめでとさん♪
あけおめ♪
それにしても
近くの神社は年始早々
お祭りしているのに
月見物語神社はガランとしてるわね!
仕方ないでしょう
なんの御利益も期待
できないんですから・・・・・・
いやいや
ちゃんと物語創作が
順風満帆になるっちゅう
御利益あるやん!
なら、さっそく願掛けしましょう
あたしは今年こそ賞を獲って
連載マンガ家になりたいわ!
若い子達に負けてられないんだから!!
傲慢!
嫉妬!!
あと秘書の仕事も評価されて
ボーナスが欲しいわね♪
全然認めてくれない社長は
許せないわ!!
強欲!!!
憤怒!!!!
それとイケメンの彼氏がいたら
嬉しいのだけれど♥
寂しくて正月はずっと
ヤケ食いしちゃった♪
色欲!!!!!
暴食!!!!!!
でも、なにも努力したくない♪
怠惰!!!!!!!
相変わらず欲張りやな
『七つの大罪を全て犯す女』ですね
イヤなキャッチフレーズね
新年早々にコンプリートする
なんてスゴいやん
そうかしら♥
ただ願いは一つに絞らないと中々叶わへんよ
テーマが多いと支離滅裂になってしまうんや
確かに今年の目標は
今年のテーマと言い換えられます
ねぇ
テーマってよく聞くけど
どういう意味かしら?
当たり前のように使っていますが
正しい意味を把握しているかと言われれば
上手く答えられないかもしれないです
物語創作においてのテーマには
似た言葉いっぱいあるからなぁ
テーマ・メッセージ・コンセプト・モチーフ・・・・・・
せっかくだから
今日のお願いは
『テーマについて教えて』にするわ♪
ええんやけど
ちゃんとお賽銭入れたやろうなぁ?
ギクッ!!
入れましたよ
小銭がなかったので
3枚ほどですけど
よっしゃあ!!
今日のテーマは『テーマについて』や!
やったぁ!
今年始まってすぐに
レベルアップしちゃいそうね♪
【スタイル】においてテーマとは
【スタイル】とは当ブログが提唱している物語創作術の分類です。
この分類により、あなた自身の目的に合わせた創作方法を選ぶことができます。
それぞれが『重視』なのは他の要素も内包しているからです。ストーリー重視だからといって、他の要素を軽視しているわけではありません。あくまでも優先順位の問題なのです。
四種類のスタイルを確認してみましょう。
キャラクター重視→登場人物
ワールド重視→世界観
ストーリー重視→できごと
ドラマ重視→キャラの心情
さて、『テーマ』はスタイルのどれに分類されるでしょうか?
テーマは【ドラマ】に属する
物語創作においての『テーマ』とは『作家が伝えたいこと』です。
伝えたいことはキャラクターの思考や感情を通して表現されます。よって、キャラクターの心情や葛藤を丁寧に描写するとドラマ重視になります。
キャラクターの心情を詳細に書くと自然とテーマ性が強調されます。スタイルの四種類の中で、お客様の心を揺さぶりもっとも感動させる力があるのはドラマ重視なのです。
お客様の心に爪痕を残したいという方は、テーマを正確に理解・活用できなければなりません。
一方でドラマ重視はシリアスの度合いが濃くなるので作品が重くなりがちです。もしポップな作品にしたければキャラクターの内面をあまり描写しすぎないように気を付ける意識が大切です。
簡単な解決策としては、『できごと』の描写を増やすことで相対的にバランスが取れます。
テーマの定義とは
作品を作っていると『テーマ』という言葉に振り回されることがあります。それほど、テーマは大切な要素だからです。ですが、同時にその言葉の意味や使い方が統一されていないせいで、混乱を招いたり苦手意識を持ってしまったりする人も少なくありません。
まずはテーマの定義を明確にしましょう。
テーマ
大辞林:テーマ
創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題。
しゅ だい【主題】
大辞林:主題
[分類]芸術全般の用語など、音楽全般
(1)中心となる題目。メーン-タイトル。↔ 副題
(2)芸術作品に,作者があらわそうとする基本的な思想内容。テーマ
物語創作においてのテーマの定義とは、『作品内で作者が表現したい主張』といえそうですね。
お客様の立場を意識した定義だと『どんな感想を持って欲しいか』になります。
これらは作者にとっては作品を表現する『目的』という言葉に置き換えられます。
作者目線→「友情の大切さ」を伝えたい
お客様意識→「友情って大切だなぁ」と感じて欲しい
例の通り、テーマとは『○○は△△である』という形式になります。
『「友情」は「大切」である』みたいに。こうすることで作者の表現したい主張になるのです。
そのため、よくテーマを尋ねられて「テーマは愛です」や「テーマは運命です」と答える人がいますが形式としては不適切です。もちろん、『愛や運命について表現している作品である』という意味合いでは間違っていないのですが、テーマにおいての主張という観点からすればズレていますね。作者の意見の方向性を含ませる必要があります
×テーマは『愛』
○テーマは『愛は尊い』
×テーマは『運命』
○テーマは『運命は残酷だ』
テーマとは、今述べたように、読者や視聴者や観客に伝えようとする、自分の考え方や主張なのです。これがなければ、書く意味がありません。
シナリオの基礎技術 P.40:新井 一 (著)
(中略)
「このテーマは何ですか」と聞くと、「友情です」とか「恋愛」ですといいますが、それだけではいけないのです。もう少し方向づけるために、「友情はいいものだ」とか「恋愛はくだらんものだ」とか、いわなくてはならないのです。
それではテーマに似ている用語について比較検討してみましょう。
似ている概念を比較してみる
テーマに近い言葉を調べてみました。それぞれの意味を混ぜ合わせたり独自の解釈を入れたりすると、周囲に誤解を与えてしまうので気を付けましょう。
和訳 | 意味 | |
テーマ | 主題 | 創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題。 |
モチーフ | 題材 | 小説・音楽・絵画などで創作の動機となった中心的な題材。 |
コンセプト | 企画 | 企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方。 |
メッセージ | 主張 | 伝えたいこと。訴えたいこと。 |
ジャンル | 種類 | 部門。種類。特に芸術作品を様式・内容によって区分する場合にいう。 |
まずはテーマとモチーフの違いについて確認します。
テーマ→なにを表現するか?
モチーフ→なにで表現するか?
わかりやすい例え話を作りますね。
タイトル『シングルだってIはW』。
テーマ→母子の絆は深い
モチーフ→シングルマザー、貧困、子どもの誕生日
『貧しいシングルマザーが、子どもの誕生日に、コツコツと節約して溜めたお金でプレゼントを贈る物語』です。
テーマである『母子の絆は深い』だけではどんな内容イメージしづらいと思います。一方で、モチーフにあたる『シングルマザー』『貧困』『子どもの誕生日』は全て具体的ですよね。
このように主題であるテーマは抽象的で、題材であるモチーフは具体的なのです。
さて、この物語のコンセプトは何でしょうか?
コンセプトは企画、狙いという意味です。物語においては作品の売りになる重要な部分なので娯楽的価値が高いものを考えなければなりません。
テーマ→母子の絆は深い
モチーフ→シングルマザー、貧困、子どもの誕生日
コンセプト→全国約119万5000世帯いる母子家庭の生活を中心にした感動の物語
(出典 : 令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告)
メッセージ→貧しくても幸せは負けていない
ジャンル→人間ドラマ・ファミリー
ニュースなどを見て母子家庭と聞くと貧乏で悲しいエピソードが多いと感じるかもしれませんが、実際は面白かったり感動できたりするエピソードもたくさんあります。
母子家庭の人には共感され、そうでない人には興味を持たれる物語になれば良いですね。
例を挙げて各用語を確認しましたがご理解いただけたでしょうか。
よくあるテーマの失敗例
テーマとは作者の伝えたい思想のことです。思想と聞くと堅苦しく身構えてしまうかもしれませんから、あなたの考え程度に理解しておくと良いでしょう。
創作をしていると意識しなくても自然に物語の中にテーマが含まれていることがあります。
特によくある物語のパターンであればテーマも決まっています。
例えば、勧善懲悪の物語であれば『善行を積め、悪は許すな』ですし、昔話では『清く正しく生きましょう』というテーマが含まれています。
ただ無意識に生じたテーマだと問題があり、物語として失敗してまうことも。
よくある失敗例をみてみましょう。
1.テーマをセリフで説明してしまう
2.よくあるテーマなため陳腐で作者の個性がない
3.複数のテーマが混在していて何を主張したいのかわからない
4.テーマ(作者の主張)が強すぎて説教臭い
1つ目は、テーマをセリフで説明してしまうという問題。
物語を作り慣れていない人の作品に多い傾向があります。ただ、大事なことをセリフで説明する癖のある創作者もいます。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』や『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督はその1人です。彼の場合は、わかりやすい説明的なセリフを使うことで多くの観客に理解しやすい内容にするという狙いがあります。
ですが余程のことがない限りは、物語のテーマは頭で理解させるのではなく、心で感じさせるような表現が望ましいでしょう。
2つ目は、よくあるテーマなため陳腐で作者の個性がないです。
少年マンガの場合に大ゴマで、
「仲間を大切にしないといけないんだ!!」
みたいなシーンがあっても白けますよね。なに当たり前のことを大声で叫んでるんだろう・・・・・・みたいな。こんな普通のことを叫んでいるようではキャラクターも没個性だと受け止められてしまいます。
特に少年マンガにおいて『仲間が大切』というテーマは擦り倒されています。作者の個性を意識するならもう少し工夫が欲しいところですね。いずれにせよ、大声でテーマを叫ぶはNGです。
対策法としては、ベタなテーマを個性的な切り口で表現すること。
例えば、『友情の大切さ』はベタですが、それを競争している人達の中で表現すると個性的になったりします。
週刊少年ジャンプで連載されていたマンガ『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ 漫画:小畑健)では、プロ棋士の登竜門で少人数しかプロに選ばれないという奨励会で、主人公はライバルの中から親友を作り切磋琢磨していきました。
ベタなテーマでもモチーフに個性があれば、メッセージは効果的になる例ですね。
3つ目は、複数のテーマが混在していて何を主張したいのかわからないです。
わかりやすく例えると、
『実門ちゃんが好きだ! 結くんも好きだ!! 月狐さまも好きだ!!!』
――みたいな主張だと、結局誰が好きなのだろう? となりますよね。
テーマも同じで、あれも大事、これも大事としていては主張がぼやけてしまいます。テーマは一つに絞りましょう。
4つ目は、テーマ(作者の主張)が強すぎて説教臭いという問題。
物語は娯楽作品であると同時に芸術作品でもあります。
自分の主張を周囲に伝えるだけであれば、プラカードに主義主張を書いて行進すれば良いのです。それか作品の1ページ目に『○○反対!!』とだけ大きな文字で書いておくとか。
あくまでも作品は物語を通して、お客様に共感して貰えるような方法でテーマを伝えることが大切です。
テーマの失敗例を見てきましたが、そもそもテーマって必要でしょうか?
テーマは不必要?
テーマについて考える際に混乱を招くのが、有名な作家がテーマは必要ないと発言していることがあるからではないでしょうか?
確かに物語創作を始める流れとして、「まずテーマを考えよう」とならない作家も多数います。
魅力的なキャラクター、緻密な世界観、アイデアのある物語展開から発想する人もいますよね。
ですが、これらはあくまでも順番の問題で必ずテーマは浮かび上がってくるものです。
例えば、粘土を渡されて何かを作るように指示されて、適当にコネコネしている段階が、物語創作においては様々な要素を考えている状況です。
そして、徐々に粘土で何を作るかがイメージが湧いてきて、制作している間に、テーマや方針が決まるのです。粘土による造形がほぼ固まった段階でテーマに沿わない部分は省かれていきます。
物語創作も同じで、物語を作っている途中に自分が何を表現したいのかがわかる瞬間があります。もしかしたら初稿が完成した後に気づくかもしれません。
そういった場合は、推敲時に物語の微調整を行えば良いのです。
有名な作家の『テーマが不必要』という言葉の真意は、意識しなくても自然とテーマは生まれるからというものでしょう。
ドラマ『結婚できない男』の脚本家であり、近年は監督も務める 尾崎 将也 氏のテーマについての言及を確認しましょう。
必ずしもテーマのことを考えなくても脚本は書けるのです。
3年でプロになれる脚本術 P.90: 尾崎 将也
(中略)
では僕の作品にテーマはないのか? というとそんなこともないと思います。つまりテーマというものは、ストーリーやキャラクターなど他の要素を考え、それを深めていく過程で、自然と、ほとんど無意識に生まれてくるものなので、それを意識して考えないと脚本作りが一歩も進まないというようなものではないのです。
さて、テーマは不必要という考え方でも結局はテーマが浮かび上がってくるのであれば、テーマは存在することになります。ですが、例外もあります。
テーマが必要ない作品もある
ジャンル作品と呼ばれる物語においてはテーマ性がなくても(弱くても)許される場合があります。わかりやすい例としては、お笑いのコントはテーマがないですよね。
お笑いの『コメディ』以外にも『スポーツ』『ホラー』『ミステリー』『アクション』『キャラクター』『成人向け』もテーマ性が弱くなりがちな作品です。
テーマとは『○○は△△である』という形式でしたよね。
これらは『○○って楽しいでしょ?』『○○って盛り上がるでしょ?』『○○ってカワイイでしょ?』『○○って怖いでしょ?』みたいなジャンル的魅力(企画)の提供という目的で作られているので、心に響くメッセージがなくても成立するのです。
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
2023年に話題になった映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。
今作は一般観客と映画評論家で評価が大きく分かれた作品です。その理由がテーマ性。映画は『ゲームを完全に再現する』というコンセプトが明確で多くの観客の期待に応えました。
一方で、評論家としては映画単体で見たときに勧善懲悪でテーマ性が弱く子どもの映画だという判断がなされました。ちゃんと『兄弟愛』や『怯えずに恐怖に立ち向かう』、『家族からの評価は大事』といったテーマはありましたが、やはり表現としては弱いということで映画としての評価が低くなったのです。
今作はジャンル作品に属するので、そういった低評価は仕方ありません。ですが、テーマが深い作品だけが高尚で価値があるということでもないのです。
テーマが強くなりすぎると説教臭くなったり人間ドラマが濃くなり作品が重たくなるので、こういった気軽に楽しめる作品も必要でしょう。
自分の作品の方向性に合わせて、テーマを入れる量を加減してくださいね。
テーマは主人公の行動で表現する
物語の中でテーマを提示する場合は、主人公の言動によって伝えるのが効果的です。
三幕構成を使って具体的に説明します。
A 主張を繰り返すだけのパターン
第一幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第二幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第三幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
これだと主人公(作家)の主張が強すぎてテーマが押しつけがましくなってしまいます。
解決するためには、主人公と異なる主張をする敵対者を用意すれば良いのです。
B 主人公の前に敵対者が現れて対立するパターン
第一幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第二幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」VS敵対者「恋愛なんて価値がないよね!」
主人公「もしかして恋愛って価値がないのかな・・・・・・?」
第三幕 主人公「いや、やっぱり恋愛って素晴らしいよね!」
主人公は自分と異なる主張を持つ人物が現れたことで、一度自分の考えが正しいかどうか疑問に感じて立ち止まります。ですが、結局最初考えていた自分の信念は変えません。この構造は勧善懲悪のようにシンプルな物語に使われます。
C 主人公の前に敵対者が現れて対立後、考えを変えるパターン
第一幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第二幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」VS敵対者「恋愛なんて価値がないよね!」
主人公「もしかして恋愛って価値がないのかな・・・・・・?」
第三幕 主人公「恋愛なんて価値がないよね!」
この場合は、主人公の考えが最初と最後で大きく変化していますね。要素を抜き出して部分だけみるとギャグみたいに感じるかもしれませんが、物語の多くがCの構造を使っています。
主人公「恋愛って素晴らしいよね!」VS敵対者「恋愛なんて価値がないよね!」
敵対者の主張である「恋愛なんて価値がないよね!」を詳しくすると、
「恋愛すると精神的に疲れるし、自由な時間もお金も減ってしまう。恋愛感情も数年で消えて倦怠期が訪れて、仮に結婚しても離婚が待っているかもしれない。ちなみに日本の離婚率は35%もある! 離婚すると財産が半分も奪われてしまう」みたいな感じになるでしょう。
主人公はこの意見に反論するかどうか選択することでテーマ性が際立ちます。
このように主人公と反対の意見は、ただの当て馬にするのではなく、それなりに説得力のあるものにしましょう。
その方が主人公が葛藤して、究極の選択になります。
「どのように第一幕で提示した問題が解決して、主人公はどのように『変化』するのか」
おもしろいストーリーをつくろう: 画創り・インパクト・プロットで考えるストーリー構造論(仮説) マンガ・アニメ・ゲームのストーリー構築法 第三版: 映像とストーリーの構造論 P.134:沼田やすひろ (著)
※普遍的な問題を解決するだけでかまいません。
※「変化」した結果が「描きたいテーマ」となります。
つまり、主人公が変化(成長or闇墜ち)することでテーマを伝えるという方法です。映画はほぼこの構造で作られています。こうしてみると『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のテーマ性が弱いということがよくわかりますね。
兄弟愛→最初からマリオとルイージは協力的で尊敬し合っている
怯えずに恐怖に立ち向かう→マリオは元々勇敢で、ルイージは少し怖がり
家族からの評価は大事→クライマックス後、否定していた父親からマリオは評価される
物語で精神的に一番成長しているのはルイージなので、彼が活躍するクライマックスに強くテーマが出ています。また、マリオが父親に認められるシーンもテーマを感じましたね。ただ葛藤している時間や物語前後の精神的な変化が弱いので、そこを指摘されているというわけです。
さて、主人公が変化するタイプの構造は、哲学者ヘーゲルの弁証法が取り入れられています。
第一幕・変化前の主人公→テーゼ(何事かを肯定的に主張すること)
第二幕・主人公と対立する敵対者→アンチテーゼ(ある理論・主張を否定するために提出される反対の理論・主張)
第三幕・変化後の主人公→ジンテーゼ(新たな高次の概念による、矛盾の解決。)
物語としてはジンテーゼがテーマ(メッセージ)になるということですね。
実は主人公のタイプによってテーマを伝えるB(主人公の前に敵対者が現れて対立するパターン)とC(主人公の前に敵対者が現れて対立後、考えを変えるパターン)の構造が違うので、次の項目で詳しくみていきましょう。
主人公別のテーマの伝え方
主人公には二種類あります。
『共感型主人公』と『憧れ型主人公』です。それぞれの違いについては過去に記事にしたので、ご覧になっていない方は確認してくださいね。
特徴をまとめてみました。
一番の違いを一言で説明すると、以下のようになります。
共感型→変化する
憧れ型→一貫する
変化しない主人公である憧れ型は、最初の信念を最後まで貫きます。
B 主人公の前に敵対者が現れて対立するパターン
第一幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第二幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」VS敵対者「恋愛なんて価値がないよね!」
主人公「もしかして恋愛って価値がないのかな・・・・・・?」
第三幕 主人公「いや、やっぱり恋愛って素晴らしいよね!」
一方で、変化する主人公は物語の中で大きく変化(成長・闇墜ち)するのです。
C 主人公の前に敵対者が現れて対立後、考えを変えるパターン
第一幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」
第二幕 主人公「恋愛って素晴らしいよね!」VS敵対者「恋愛なんて価値がないよね!」
主人公「もしかして恋愛って価値がないのかな・・・・・・?」
第三幕 主人公「恋愛なんて価値がないよね!」
あなたの物語の主人公の種類によって、効果的な構造は異なります。
また、主人公が成功するか失敗するかによっても伝わるテーマは異なります。以下にパターンを記載するので参考にしてください。
敵対者は人間に限りません。主人公の前に立ちはだかる障害であれば、自然でも動物でも何でもOKです。また、主人公が正しいか間違っているかや成功か失敗かの判断が難しいほど、ドラマ性が増してテーマが濃くなる傾向があります。
あなたが伝えたいテーマを正確にお客様に届けるためにも、主人公の状態と結果は意識しておいてくださいね。
テーマはクライマックスで爆発する
以前、『感動』についての記事で説明したのですが、三幕構成に当てはめて物語の起伏を作るのであれば、一番テーマを訴えかける場面はクライマックス(三幕目)です。
ここは主人公が問題を解決するために変化(成長)したり、感情が強く出るところだからです。もし、第一幕目に強くテーマが出てしまうとその後は尻すぼみになって盛り上がらなくなります。
そういう点でもクライマックスにテーマが強く打ち出せるように構成を工夫しましょう。
第一幕→問題提起『?』・・・・・・主人公の抱える問題をお客様に伝える
第二幕→問題深化『VS』・・・・・・主人公が問題を解決しようと試行錯誤する
第三幕→問題解決『!』・・・・・・主人公が問題に立ち向かって解決する
クライマックスで問題解決するのであれば、第一幕目から問題をお客様に伝えておく必要があります。さもなければ物語の終盤にいきなりテーマ性が立ち上がると入った違和感が生まれるからです。
例えば、「恋愛って素晴らしいよね!」というテーマがあるならば、第一幕目から何らかの形で恋愛について触れておく必要があります。『この物語は恋愛について表現しますよ』とお客様に伝えることで、物語の背骨がはっきりとするのです。
テーマは物語の根底にずっと流れています。それが噴出するのがクライマックスだと覚えておきましょう。ただ、テーマが強く出るからといって、主人公に叫ばしてはいけません。テーマを表現する方法として一番有効なのは無言です。
お客様に頭で理解させるのではなく、心で感じさせるためにも、言葉に頼らないようにしましょう。つまり、主人公の行動や表情、アイテムの活用により感情表現するということですね。
まぎれに注意
まぎれとは、『重要なことが曖昧になりぼやけてしまう』という意味です。
この記事内の『よくあるテーマの失敗例』の3つ目『複数のテーマが混在していて何を主張したいのかわからない』で先に述べたように、物語内のテーマは一つに絞りましょう。
テーマと関係のないエピソードは『まぎれ』になります。逆にいうと、テーマがあることでそのシーンが必要か不要かの取捨選択ができるのです。もし、テーマがなければその基準がありません。
例えば、『タロウ君』という主人公の物語を作ったのに、途中からヒロインの『ハナコちゃん』ばかりが活躍したらどうでしょうか? もしくはタロウ君の師匠の『ゲンさん』の過去のエピソードが延々と挿入されたらどうですか?
これ、だれの物語なんだろう? となりますよね。
テーマも同じで、メインテーマ以外の描写が多いとお客様は混乱してしまいます。これがまぎれです。
まぎれは物語が長編になるほど、出てきやすいです。本筋から脱線して、テーマと関係のないエピソードばかり膨らませてしまいがちです。目の前にある面白そうなエピソードに飛び付くのではなく、たまには俯瞰して自分の歩んでいる道が正しい目的地に向かっているかの確認をしましょう。
物語が迷子にならないためにも、テーマは必要です。
最後にシナリオセンター創設者の孫の新井一樹氏の著書から引用します。
テーマが複数あるということは、目指すべきゴールが複数になるということです。主人公が歩くべき構成の道は、険しく、山あり谷ありですが、あくまでも一本道なのです。
テーマが3つも4つもあったのでは、主人公の進むべき道が、途中で三叉路になったりします。それでは、どのテーマも描ききれません。一番恐ろしいのは、テーマがぼやけていても、物語は書けてしまうことです。作者は何となく違和感を持ったまま、それでも力技で最後まで書けてしまうのです。そういった作品は、観客・読者の心を打ちません。
シナリオ・センター式 物語のつくり方 プロ作家・脚本家たちが使っている P.87:新井一樹
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
物語には絶対に必要にも関わらず、囚われてしまうとダメになってしまうやっかいな問題。今回はそんな『テーマ』をテーマにして記事を書いてみました。
新年早々1発目の記事としてふさわしいと思います(『オリジナリティ・後編』の記事は発表したのは今年ですが、昨年から取りかかっていましたので除外!)。
今回の内容が少しでもあなたの物語創作の悩みを解消させることをお祈りしています。
今年もみなさまの創作ライフに爽やかな東南の風が吹きますように★
月見物語神社:夜更け
ほな早速今年の
テーマについて
聞かせて貰おうやないか
はいはい♪
あたしは商業誌で
読み切りマンガを
載せることよ!
オレは小説を一本
完成させることです・・・・・・
ええテーマやな
ほな道しるべを
教えたるわ!
やったぁ♥
実門はここで教えた内容を
ちゃんと復習すること!
一度聞いただけでは
身につかへんからな!
反省が必要ということですか
逆に結は反省しすぎや!
失敗を恐れずに前に進むこと!
反省してます・・・・・・
そういえば
結は去年1つも小説を
書けなかったわね!
うっ・・・・・・
まだ生傷なんですから
触れないでくださいよ
反省♥
――で月狐先生の
今年のテーマはなんですか?
せやな!
まずはより優秀な師匠になる!
ほんで近隣の氏子に愛されて
テレビのニュースとかで
この月見物語神社が取り上げられる!!
あとはウチの石像がカワイイと
女子高生に注目されて人気スポットになる!!!
そして、パワースポットランキングで
一位になって世界平和のシンボルになる!!!!
ほんで――、
『まぎれ』まみれじゃないの!
反省してください!!
鳳堂 志幻
電子書籍を出版しました
興味のある人は是非お手に取りください
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参考資料:
・「物語」の組み立て方入門 5つのテンプレート 円山 夢久 (著)
・プロになりたい人のための小説作法ハンドブック 榎本 秋 (著)
・3年でプロになれる脚本術 尾崎将也 (著)
・シナリオの基礎技術 新井 一 (著)
・脳が読みたくなるストーリーの書き方 リサ・クロン (著), 府川由美恵 (翻訳)
・シナリオ・センター式 物語のつくり方 プロ作家・脚本家たちが使っている 新井一樹 (著)
・おもしろいストーリーをつくろう: 画創り・インパクト・プロットで考えるストーリー構造論(仮説) マンガ・アニメ・ゲームのストーリー構築法 第三版: 映像とストーリーの構造論 沼田やすひろ (著)
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